錦織 健さんからのメッセージ
スロヴァキア室内オーケストラと初めて共演したのは2001年のことなので、かれこれ16年の長いつきあいです。
お互いを理解し合えていてアンサンブルもやり易いことから、私は勝手に「名コンビ」を名乗らせていただいております。(先方がどう思っているのかは知りませんが……)
スロヴァキア室内オーケストラのメンバーのキャラクターはひとことで言えば「もの静かで真面目」でしょうか。
ツアー中も物凄い練習量で、コンサート当日のリハーサルは延々続きます。しかし真面目だけでは物足りないのは道理、そこでソロ演奏をしながら指揮をするマエストロ・ダネルの大きな存在感がものを言うわけです。ダネルさんは華麗で変幻自在、見た目からは想像もつかない茶目っ気さえも備えたエンターテイナーなのです。そのダネルさん率いるスロヴァキア室内オーケストラと、自称日本のエンター「テナー」の私の共演演目は、昨今ブームのフィギュアスケートで有名となったクラシックの名曲達。スロヴァキア室内オーケストラの定番レパートリーと共に誰もが楽しめるコンサートになることと思います。
エヴァルト・ダネル
Ewald Danel(芸術監督・指揮・ヴァイオリン)

ブラティスラヴァの音楽演劇アカデミーでボフダン・ヴァルハル教授にヴァイオリンと指揮を学び、博士課程を修了。ウィーン国立音楽大学でも指揮クラスに学ぶ。
スロヴァキア放送交響楽団とスロヴァキア国立歌劇場管弦楽団でコンサートマスターを務めた後、2000年にはスロヴァキア・フィルの指揮者としてもデビューし、以来様々なレパートリーを指揮してきた。2001年、ボフダン・ヴァルハルの後任として、スロヴァキア室内オーケストラの芸術監督に就任した。
後進の指導では、ブラティスラヴァ音楽演劇アカデミー教授、名古屋の愛知県立芸術大学客員教授を務め、2008年からは広島交響楽団の首席客演指揮者を務めていた。
錦織 健
Ken Nishikiori (テノール)

国立音楽大学卒業。文化庁オペラ研修所第5期修了。文化庁在外研修員としてミラノに、また、五島記念文化財団の留学生としてウィーンに留学。
第17回ジロー・オペラ賞新人賞、第4回グローバル東敦子賞、第1回五島記念文化賞新人賞、第6回モービル音楽賞洋楽部門奨励賞受賞。
1986年「メリー・ウィドウ」カミーユ役でデビュー、以後、「こうもり」アルフレード、「魔笛」タミーノ、「セヴィリアの理髪師」アルマヴィーヴァ伯爵、「アルバート・ヘリング」アルバート、「ポッペアの戴冠」ネロ、「スペインの時」ゴンサルヴェ、「リゴレット」マントヴァ侯爵、「ドン・ジョヴァンニ」ドン・オッターヴィオ、「椿姫」アルフレード、「蝶々夫人」ピンカートン、「学生王子」カール・フランツ役等の他、三木稔作曲「静と義経」や、三枝成彰作曲「忠臣蔵」といった邦人作品にも意欲的に出演し、いずれも好評を博している。 また、ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」「交響曲第9番」、ヘンデル「メサイア」、モーツァルトやヴェルディの「レクイエム」等のソリストとして高く評価を受け、親しみやすいトークを交えたリサイタルでも、多くのファンを魅了している。この他、2000年、03年のNHK紅白歌合戦への出演や、2012年4月よりNHK-FM「DJクラシック」のパーソナリティーを務めるなど、テレビやラジオ番組への出演も多い。
2002年からはオペラ・プロデュースも始め、2015年には第6弾モーツァルト作曲「後宮からの逃走」も手がけた。
CDは、ポニー・キャニオンより「恋人を慰めて」「すみれ」「砂山」「秋の月」「錦織健 日本をうたう~故郷~」「錦織健 アリアを歌う」「錦織健プラチナム・ベスト」等が発売されている。
スロヴァキア室内オーケストラ
Slovak Chamber Orchestra

1960年に創立されて以来、スロヴァキア室内オーケストラは、スロヴァキアのクラシック音楽の分野で最も人気のあるアンサンブルのひとつ、海外に自国の芸術を伝える重要な団体のひとつに発展している。スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団の一員であったボフダン・ヴァルハル教授は、1950年代末に弦楽オーケストラの創立を思い立ち、スロヴァキア・フィルの弦楽器奏者から精鋭を9人選んだ。この新アンサンブルはたちまちコンサートの常連客や評論家の関心を引き、じきに他の名高い室内管弦楽団と肩を並べる存在となった。
スロヴァキア室内オーケストラは常に、ヨーロッパ、南北アメリカ、アジア、オーストリアの重要なコンサートや音楽祭に出演しており、多くの世界的な実力派ソリストと共演している。また彼らの演奏に触発された複数のスロヴァキア国内の作曲家が、彼らのために新曲を作っており、スロヴァキア室内オーケストラが自国に加え、海外のレーベルより発表した録音は、様々な時代の100以上の作品におよんでいる。2001年1月以来、エヴァルト・ダネルが芸術監督を務める。