添乗員つれづれのーと
1〜5 / 6〜10 / 11〜15 / 16〜20 / 21〜25 / 26 / 27 / 28 / 29 / 30
31〜35 / 36〜40 / 41〜45 / 46〜50 / 51〜55 / 56〜60 / 61〜65 / 66〜70
71〜75 / 76〜80 / 81〜85 / 86〜90 / 91〜96

   
  26.基本業務その1 2003年10月9日高知新聞掲載  
アイスティー  一昔前、ヨーロッパ旅行の土産話の定番の1つは、「ヨーロッパでは食事の時、水が有料でしかもワインのほうが水より安い」、でした。これは、日本人なら空気と同じようにただであるはずの水を買う、ということと、高いワインが水より安いという、日常の常識を覆した2つの意外性がありました。
 当時としては上等の土産でしたが、近年わが国でも有料のミネラルウオーターがブームで、この話のインパクトはかなり色あせてきました。
 このごろは日本人観光客に慣れたヨーロッパのレストランではミネラルウオーターを無料で出してくれるところもあります。が、基本的にはやはり昼食、夕食は水を含めた飲み物の注文から始まります。添乗員の「基本業務その1」です。
 レストランによって代金が違うので、ご案内の上、飲み物担当の係員と一緒にテーブルを回ります。ミネラル、ソフトドリンク類、ビール、ワインなどを選択していただくのですが、何を注文したらいいか食事のたびに悩む人がいたりして結構時間がかかるのです。
 人数が少ない場合は別として大人数となると、ひと苦労です。その上、日本なら何の問題もないような、注文した飲み物の変更や「2人で分けて飲むからグラスを2つ」、など少し複雑になると係員が混乱してしまう国も多いのです。
 機械的に通訳していては通用しません。そして食後の飲み物代の支払いが店によってはまた問題ありです。大抵は細かい計算が苦手なので釣り銭に時間がかかり、急いで出発したい時など気ばかりあせります。
 それでもたまには片言の日本語を操りながら、あっという間に片付ける係員がいたりします。思わず拍手が起こる場面です。
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  27.グラスワイン 2003年10月16日高知新聞掲載  
ワイン畑  海外での飲み物はやはりワインです。「水より安い」、だけでなく、周りが当たり前のように飲んでいて、おいしくて種類が多く楽しめるのです。
 ライン下りの船から見る風景やロマンチック街道の途中では驚くような規模でワイン用のブドウ畑が広がります。今年の夏は異常に暑かったのに、ブドウだけは上々の出来だそう。今年のワインは上物という評判です。
 ワインには一部誤解があります。それは古いものほど良いという考えです。確かに、樽(たる)や瓶で寝かせた高級ワインの「○○年物」という場合、古いのに良い物が多いのは間違いないようです。
 ところが一般に飲まれているワインは基本的に別物です。ブドウに適した気候に恵まれた年に、良い造り手で仕込まれたワインが良いワインです。
 レストランは普通、ハウスワインを持っています。各レストランがお勧めワインとして提供するので大量仕入れでお買い得になっています。
 本場の凝っている店では、ワイン造り農園をそっくり買い取りオリジナルラベルのワインを提供する店もあります。旅行中飲むのはこうしたハウスワインです。地元のワインが飲めてリーズナブルな料金が魅力です。
 注文は通常グラスワインかボトル一本かです。ボトル一本は普通のワイングラスに注ぐと5杯に少し足りないくらいです。ワイン希望が多い場合、添乗員としては値段を比べて、「ボトルで割り勘がお得ですよ」などとアドバイスするのです。
 が、最近ちょっとした裏切りに遭いました。ウィーンのレストランで、グラスワインがボトルの8分の1ぐらいの値段でした。「これは絶対、グラスワインが得ですよ」。そう勧めたのですが、ウエーターはワイングラスに半分程度注いで回るのでした。
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  28.ガス入り水とワイン 2003年10月23日高知新聞掲載  
イタリア  ヨーロッパの飲み物で日本人がよく飲むのはワイン。ほとんど飲まない物と言えば、ガス入りのミネラルウオーターです。普通はヨーロッパのレストランでミネラルウオーターを注文すれば、ガス入りの水を意味します。以前は、水を注文するときには必ずガス無しの水と指定するのが添乗員の心得のひとつでした。
 近年は日本人が多い店ではよく分かっていて、黙っていても出してきます。ガス入りの水は、初めて飲んだ方からは必ず、「なんじゃ、これは」的な反応が返ってきます。そのつもりで飲めば大したことはないのですが、普通の水と思って飲む場合が多いので、よけいに「なんじゃ、これは」です。
 現地の人に、なぜガス入りの水を飲むのか聞くと、「のどが渇いている時は気持ちがよい」、「お金を払って普通の水を飲むのはもったいない」などと答えます。
 人気のある白ワインと、この人気のないガス入り水をミックスした飲み物があります。オーストリアでよく飲まれているスピリッツァーです。単純に割るだけですが、口当たりが良くて飲みやすくなります。ドライバーはこればかり飲んでいたりします。
 ワインを現地の人をまねてビールのようにがぶ飲みするのは、アルコール度数が高すぎるのですが、この飲み方をすれば大丈夫。アルコールが苦手な方にもお勧めの飲み方です。
 割るのは普通の水よりやはりガス入り水です。日本でやるなら、トニックウオーターでしょう。しかし、ワインの飲み方としては邪道です。お隣のイタリアあたりでこの飲み方をしようとしたら、「その飲み方は良くない」とたしなめられたりします。
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  29.シロクマ観察ツアー 2003年10月30日高知新聞掲載  
チャーチルのシロクマ  行き先はカナダのマニトバ州です。印象は薄いと思いますが、カナダには北東部から1つの州のような大きさで、かなり内陸部まで入り込んだ巨大な湾があります。日本の面積の数倍のハドソン湾です。
 カスピ海や黒海より大きく、同じ湾でも東京湾や浦戸湾とはけた違いです。カナダはほとんどの地域が北海道より高緯度なので北部は北極圏になり、ハドソン湾は年間8カ月近く氷結します。
氷結した海はアザラシの天国となり、アザラシが大好物のシロクマたちの生息地になっています。
 そのシロクマ観察ツアーに行ってきました。ハドソン湾の西に面した人口1000人余りの小さな町がマニトバ州チャーチル。州都のウィニペグから北へ空路2時間半、鉄道なら2泊3日。道路がないので車では行けないという文字通り「陸の孤島」です。
 この町は世界で唯一、観光客が野生のシロクマを見られる場所として知られています。ハドソン湾は7月になると、海上の氷が解け始めシロクマたちも氷上での生活ができなくなって陸に上がります。
 ツンドラ地帯の涼しい場所に隠れて、再び氷結する11月をひたすら待っているのです。チャーチルは河口にあり、真水が流れ込む関係で最も早く凍りはじめます。10月中ごろになると、氷結を待ち切れないシロクマが海岸線に集まるのです。
 クマ類らしく氷の上をうろうろしたり、雪の上に寝転がったりして過ごしています。このシロクマたちを60人乗りの観光専用のバギーで見に行くのがハイライトです。
 チャーチル近郊には人間より多い1500頭近くのシロクマがいるそうです。海岸線まで迫った氷と雪、草木もほとんど生えていないツンドラ地帯を終日走ると、20頭近く観察できます。
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  30.「地の果て」チャーチル 2003年11月6日高知新聞掲載  
チャーチルのシロクマ  カナダ・チャーチルのシロクマ観光が始まったのは1980年です。その珍しさからアメリカそしてイギリスを中心にヨーロッパに人気が広がって年々観光客が増え、40人乗りのツンドラバギーが今では18車両になっています。
 日本からは昨年、初めて関東方面の数グループが出発しました。今年はもう少し増えそうとのことです。しかし、今回私たちがチャーチル滞在中に出会った東洋系の観光客はゼロ。10月26日に現地を出ましたが、次に日本人が来るのは11月6日とのこと。
 日本から行きにくい理由の一つに、距離だけでなく旅費の高さ、取り消し料の厳しさがあります。この時季の航空運賃は高くはないのですが滞在費用やバギーにかかる費用などが異常なほど高額です。
 行って納得したのは、観光収入のほとんどの部分をシロクマが見られる1カ月間に依存していることです。バギーは特殊な車両なので大型バスよりずっと購入費がかかります。でも、海が凍りシロクマがいなくなると次のシーズンまで使われないそうです。
 宿泊施設も同様で、夏場には数千頭のベルーガ(シロイルカ)が見える時季はあるようですが、それ以外に「売り」はなく客は見込めません。
 ここには以前、アメリカ空軍の観測施設やカナダ・アメリカ合同のロケット実験場があったのですが、2つとも撤退。今や町の経済はシロクマ頼りです。しかし前途も決して明るくはないようです。
 地球温暖化の影響で年々氷の張り方が変化していて、10年後にはチャーチルが最初に氷の張る場所ではなくなる可能性が高いそうです。現在は60キロ余りの海岸線にシロクマが集まるので観察できますが、数百キロもあるほかの海岸に散らばったらお手上げです。
そんな話を聞くと、「地の果て」チャーチルが余計にわびしい町に見えました。
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